サプリメントとは、アメリカ合衆国での食品の区分の一つであるダイエタリー・サプリメント (dietary supplement) の訳語で、不足しがちなビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養補給を補助することや、ハーブなどの成分による薬効の発揮が目的である食品である。ほかにも生薬、酵素、ダイエット食品など様々な種類のサプリメントがある。栄養補助食品(えいようほじょしょくひん)、健康補助食品(けんこうほじょしょくひん)とも呼ばれる。略称はサプリである。
元来、サプリメントは生体に不足した栄養素を補充する目的で用いられていた。 1990年ごろから、国民の健康意識の高まりや、テレビ番組での紹介によりサプリメントへの認識は広まり、また医療費の高騰の対策として国政として予防医学を進めて法整備や規制緩和が行われ、また一般の人に健康維持の意識を高めて貰う目的で推進されていることもあり、日本でも一大市場となっている。
【アメリカ】 アメリカでは医療保険制度が日本とは異なり、病気になると日本と比べて高額な医療費が必要となるため、日頃からの健康の維持に大きく関心が割かれ、薬よりも安いものも多いサプリメントが幅広く普及している。
また、健康の自由運動(en:Health freedom movement)という、食品の効能の表示の自由や、サプリメントの使用の自由を健康のために求める運動が活発である。
1910年代にビタミンが発見され、その後サプリメントとして消費されるようになった。 1938年、食品・医薬品と化粧品法 (Food, Drug,
and Cosmetic Act) が制定され、ラベル表示の誇大表現が取り締まられるようになった[1]。 1950年台に、アメリカ食品医薬品局
(FDA) が強硬姿勢をとるようになったため、サプリメント産業はNHF(全国健康連盟:en:National Health Federation)を組織しロビー活動を開始する[1]。
1962年、FDAはサプリメントの表示ラベルに欠乏症でない場合には必要ないと表示するよう提案をしたが、NHFから4万通の抗議の手紙の手紙が届く[1]。
1966年、FDAは1962年と同様の提案をもう少し弱めた表現で求めたが、今度は200万通以上の抗議の手紙が届いた[1]。 1976年、食品・医薬品と化粧品条例が改正され、サプリメントを医薬品に分類することが禁止された。
1980年代には、ロック・フェスティバルやレイヴで、スマートドリンク (en:Smart drink) と呼ばれるビタミンやアミノ酸などが配合されたドリンクがアルコール飲料の代わりに飲まれたが、FDAはスマート(頭がよくなるという意味)という言葉を使用しないよう警告した[2]。また、この頃に生活習慣病と食事の関係が分かり食生活指針が策定され、こうした背景が今度は食品の効能表示を増やしていく。
1990年、栄養表示教育法(NLEA:Nutrition Labeling and Education Act)が策定され、食品やサプリメントと病気予防の関連について申請し、科学的根拠があると認可されたものに関しては、申請者でない場合も効能を表示できるようになった。
また同1990年には『頭のよくなる薬-スマート・ドラッグ』[3](原題、Smart drugs & nutrients)が出版され、スマートドラッグがマスコミで話題になりFDAの監視が強くなる[4]。
1992年、NLEAに伴ってFDAのサプリメントのラベル表示の規制がすすめられようとしていたこの時期に、栄養療法を行っていたジョナサン・V・ライトのタホマ・クリニックに、武装したFDA職員が押し入ったことが「ニューヨーク・タイムズ」に掲載された[5]。FDAはそこで使われている製品の安全性を懸念していたと弁解したが、サプリメントが医薬品として規制されるかもしれないという世論ができ反対活動が起こった[5]。
1992年、『頭のよくなる薬』のジョン・モーゲンサーラーは『Stop the FDA:save your health freedom』を出版し健康の自由を訴えた。オリン・ハッチ上院議員は健康の自由法(Health
Freedom Act)の法案を提出したが却下された。 1993年、FDAは、頭がよくなるということで承認された薬や食品はないので、このようなものが販売されないように動いていることを発表する[6]。NHF主導によって抗議活動が行われFDAに何十万通もの抗議の手紙が送られ、健康の自由を巡って抗議活動が続いた[7]。
1994年、アメリカの連邦政府は「栄養補助食品健康教育法」(ディーシェイ、DSHEA:Dietary Supplement Health and
Education Act)を可決し、サプリメントを「ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸のいずれかを含み、通常の食事を補うことを目的とするあらゆる製品(タバコを除く)」と定義し、サプリメントにわかりやすいラベル表示を義務付けた。
サプリメントは、食品、医薬品とは異なるカテゴリーにある。FDAの定義において、サプリメントは医薬品などの大規模な治験により効果が出ることが実証されたものとは異なっているため、病気を治療するという主張はできない。しかし、DSHEAでは、科学的根拠がなくてもなんらかの証拠があれば効能を表示できることになっており、医薬品ほどに厳しい品質基準を維持する義務もないため製品の品質のばらつきも許容されている。このため効果を連想できるような表現が用いられる。DSHEAでチラシやパンフレットをラベルとみなすことを禁じ、FDAは製品の文面を製品ラベルとみなすように規定されている。パンフレットや書籍、その他の広告は、連邦取引委員会
(FTC)が監視しているため、広告に関しては製品ラベルより規制がゆるい。 また、DSHEAでは製品を発売する前に、医薬品の治験のようにその成分の安全性を確認する必要はない。FDAは自ら定めた基準に基づき、安全性に問題があると見られる製品について市場追放命令を出すことができる。FDAは商品製造工場や販売メーカーへの抜き打ち検査や、消費者からのクレームの処理を行っている。詳細に渡り管理を行うと共に、基準に達していない場合・許可時と異なった配合などを行った場合には、製品の販売停止・業務停止を執行出来る権限を持つ。故にアメリカの栄養補助食品は日本国内で生産される製品に比べると、公的機関に「見張られている・さらされている」確率ははるかに高い。これに対し、日本国内で製造される栄養補助食品は事故が発生しない限り製造中止に追い込まれる確率は少ない。FDAはこれら指導を行った内容に関して、インターネット上などで詳細な報告を行っており、消費者もそれらを容易に確認することができ、それら資料を購入前の判断のひとつとして利用することが可能である。
アメリカ国立衛生研究所のODS(Office of Dietary Supplements) がDSHEAによって設置され、サプリメントのデータベースの公開や、査読制度のある雑誌の研究をもとに有効性のあるサプリメントに絞って報告書「Annual
Bibliography of Significant Advances in Dietary Supplement Research」[8]を作成している。
1997年、世界中のビタミンの価格に関与しているビタミン業界による価格カルテルが発覚した、刑事罰による罰金が全米史上最高の10億ドルとなった[9]。
2004年11月、効能表示の根拠の基準はなかったが、その基準が発表された。 2007年6月、不純物や有害物質の混入を防ぎ、ラベル通りの内容物を含むというCGMP(Current
Good Manufacturing Practice)[10]のラベル表示が義務付けられることが決定する。従業員規模によって猶予期間は2008〜2010年までとなる。
【日本】 1996年、日本ではアメリカの外圧により、市場開放問題苦情処理体制[11]でサプリメントが販売できるように規制緩和が決定された。 日本では健康食品と俗称され法的には食品の区分に入れられているが、その位置づけをどうするのかという議論が続いている。
詳細は健康食品を参照 救いを求める病に患う者の心理を利用し、バイブル商法やマルチ商法などで利用され、悪いイメージを持たれる原因ともなっている。(ウィキぺディアから参照しています)
(ウィキぺディアから参照しています)